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ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンについて③|樹神内科クリニック|小平市・花小金井にある内科・呼吸器内科

ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンについて③

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こんにちは。前回の続きで、今回はワクチンの安全性に関してです。

さて前回お話した通り、非常に有効で優秀なHPVワクチンですが、わが国では2013年4月、小学6年~高校1年の女性を対象に定期接種となりました。しかし、接種後に長引く痛みなどの訴えが相次いだことから、2か月後に国は対象者に個別に接種を呼びかける「積極的勧奨」を中止しました。それ以来、今年4月の再開まで公的に接種を促すことはなくなり、2019年度までの接種率は1%前後と低迷しました。積極的勧奨の再開にあたっては、国民に「有効性や安全性について分かりやすく情報提供できるようになること」が条件とされてきました。

今回の再開決定には国内外で新たな研究が進んだことが決め手となりました。有効性に関しては子宮頸がんそのものに対する予防効果を示した前述のスウェーデン、デンマークの論文の影響が大きく、安全性に関しては最もインパクトのある疫学的調査報告としていわゆる「名古屋スタディ」が知られています。その論文の中では「関節や体が痛む」「集中できない」「身体がだるい」「物覚えが悪くなった」「身体が自分の意志に反して動く」「月経量の異常」などHPVワクチン接種後に報告されている24症状で、ワクチン接種と症状の発生との間に有意な関連性は見出されず、因果関係はないと考えられるとされています。さらに世界保健機関(WHO)もHPVワクチンの推奨を控えるべき安全性の問題は見つからないとの声明を発表しています。ですので安全性に関してはほかのワクチンと比較して明らかに劣るということはないと考えます。

とはいえ、どのようなワクチン接種でも副反応が起こりうることは紛れもない事実です。ですので当院ではまずワクチンの有効性、安全性をご理解していただいた上で、ご本人の意思を確認し、それから接種するようにしています。また副反応が生じた場合は真摯に対応することを心がけています。

次回に続きます

 

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